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第2章-10:阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)の遺産

1995年1月17日未明の兵庫県南部地震により、阪神・淡路大震災が発生し、多くの人命と家屋・財産が損壊しました。
亡くなられた方々の90%は、一瞬にして倒壊した家屋による犠牲者でした。
とくに木造住宅の被害が大きかったといわれています。

倒壊した家屋は、震災発生前から、誰が見ても一目瞭然の欠陥住宅だったのでしょうか?いかにも構造的に危うげな建物だけが倒壊し、見た目に立派な家屋は損壊を免れたのでしょうか?あるいは、建築年代の古い建物から順に倒壊して、築年数の新しい家屋は災厄を免れたのでしょうか?
もちろんそうではないでしょう。古い家屋でも、部材同士がしっかりと
緊結されていた建物はほとんど無傷のまま残り、新築でも緊結に必要な手段が施されていなかった家屋は一瞬にしてバラバラになったのです。

大震災で、人々の生死をわけたかなめとなったものの一つが部材の
緊結であり、そのための手段が補助金物であったわけです。
(注:他にも屋根材の重さ・構造や基礎・土台の構造も重要なものです。)
震災後、多くの建築家が現地に入り、倒壊家屋に対する綿密な調査がなされ、それら調査結果にもとづき、「木造住宅の部材の緊結などに関する建設省通達」が発せられました。

建設省住宅局建築指導課長から特定行政庁建築主務部長宛
建築物の構造耐力上の安全確保に係る措置について
(平成7年5月31日住指発第176号)









この中で、木造住宅の部材の
緊結については、「住宅金融公庫融資木造住宅工事共通仕様書」の規定を満たしているかどうかによって判断すべきである、と明確に規定されました。(注:以上の事実は当HPのリンクにある「欠陥住宅を正す会」HPで閲覧可能。)

木造住宅の構造に関する規定としては次の3者があります。
1.建設大臣官房官庁営繕部監修 建築工事共通仕様書
2.日本建築学会標準仕様書
3.住宅金融公庫融資木造住宅工事共通仕様書

このうち「3.住宅金融公庫融資木造住宅工事共通仕様書」は、金融公庫融資を受けるために必要な条件として補助金物の使用を明確に指定しているため、3者の中では、もっとも厳しい基準です。
しかし、金融公庫融資を受けなければ、金物は使用されていなくても必須のものとは言えない、という考え方も可能です。また工務店が手抜きをするとすれば、もっとも手を付けやすい部分がこういう補助金物を「抜く」ことでしょう。

ところが、緊結用の金物や軸組の歪みをふせぐ「かすがい」などは、それを「抜いた」ところで、完成建物の外観を見ただけではまったくわかりません。必須ではないがゆえに、あるいは外見上バレにくいために、それを省く設計士や工務店が堂々と存在し、その結果、ひとたび震災がおこれば、一瞬にして、そこに生活する人々の生命・財産を粉々にしてしまう。
あの震災で、生活基盤であった家屋もろとも一瞬に生命を失った方々の中には、以上のような経緯で、それぞれの人生を突然、理不尽に奪われた方々も多く含まれているはずです。外観は立派だった家屋を失った方々もいたことでしょう。大震災による多くの犠牲者は、決して天災ではなく多くは人災であったのです。

日本の国土は、年間四季を通じて、自然災害とのたたかいに明け暮れているといっても過言ではありません。自然災害の最大のものは、
地震・台風なのです。








次々と国土を襲う自然災害に対し、構造上安全な建物を如何にして確保するか、建築関連諸法を改正する時間はないが、しかし、予防しようとすれば出来たはずの人的・物的な災害被害を何としても未然に阻止せねばならない。大震災の余燼くすぶる中、平成7年5月31日付、そういう悲愴な思いと反省に立って、建設省の上記緊急通達は発せられたと私は信じます。

住宅金融公庫融資を受けたか否かには係らず、地震・台風のような自然災害に耐えうる構造の建物を目指せば、金物による
緊結は不可欠の工程なのです。
在来軸組工法の木造住宅でさえも、金物で緊結しなければならない、と建設省の通達は指示しているわけですから、もともと金物使用を前提として発展し、改善されてきた
2x4工法では、上記通達はまったく当然のはずです。金物不使用の2x4など、想像もできない、実用生活では存在することの許されない建物ということになります。それは、地震・台風にはまったく無力なのです。

このHPでこれまで綿密に検証してきたように、金物不使用は施主に無断で実行されたことであり、きわめて信じがたい、異常事態だと言えます。その実行に関係した者たちは、何の目的かは別にして、施主の生命・財産を軽んじ、危険に陥れたと判断できるでしょう。元請工務店の責任も同じです。
平成7年3月初め、六甲の頂きにまだ冠雪を見る寒い日に、神戸市灘区灘保健所で私が見たものは、階段や廊下にずらりと並べられた白木の棺でした。
もうその頃には、あらたな犠牲者の発見はほとんどなかったのではないかと推測するのですが、その厳粛な光景を私は今でも忘れることができません。
大震災で悲惨な被害に遭われた多くの方々が、貴重な生命財産を犠牲にして、私たちに残してくれた遺産、それが、建設省の通達なのではないでしょうか。








現在の法制度では、欠陥住宅の被害者がその欠陥を証明しなければなりません。私は、それを十分に証明できたと考えます。ここまで辿りつくのに、どれほどの時間と資金と精神的不安とを犠牲にしなければならなかったのか。
どれだけ不眠や食欲不振と闘わねばならなかったか。
本業である地域小児医療のための研修がどれほど阻害されたか?数値には決して置き換えることの出来ないその被害こそ計り知れないのです。

瑕疵責任の証明義務は、あくまで設計士および工務店こそが負うべきである。
私はそのことを、このHPを通して、ユーザーの方々に訴え続けます。

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