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第2章-12:設計図が語る謎、その2


サーモプライに限らず、構造用合板代替品としての構造用パネル類はすべて、2x4工法においては、以下のように規格が規定されています。
(典拠:住宅金融公庫 枠組壁工法住宅工事 共通仕様書)

4.7.9.4
1.構造用パネルの品質は、構造用パネルのJASに適合するもので1級、2級、3級又は4級とする。
2.張り方は、3inch x 8inch(910mm x 2.440mm)
若しくは3inch x 9inch (910mm x 2.730mm)版をたて張り又は4inch x 8inch (1.220mm x 2.440mm)版を横張り若しくはたて張りにし、たて枠上の継目は2〜3mmあける。

設計図書には、構造用合板と明記されているにもかかわらず(図1外壁図2屋根)、施主に無断で厚紙程度のサーモプライに変更されていた理由は、以上であきらかになりました。

つまり、A氏は、最初から構造用合板など使用するつもりはなく、なめらかな曲面を造作するために、剛性の高い構造用合板に変えて、弾力性に富むサーモプライの使用を念頭において設計していたわけです。

半径Rが非常に大きい建物では、正多面体 ≒ 円形となるでしょうが、当院のように、R=9.100mmのように小さい場合には構造用合板では実現不可能な円になり、接合部がはっきりと出っ張り、しかも開口部ごとに接合部の角度が異なる不規則な多面体しか実現できないからです。











そうすると、2x4工事で定められている、910mmの構造用パネルの幅は、あちこちで剪定を受けて、適当に変更されているのでしょうか?それとも…?

すでに述べたことですが、建築確認申請書の副本を私は、A氏から受領していないままです。
竣工後にA氏は検査済証だけを持参しました。
したがって、A氏がどのような確認申請をしたのか、宗像の土木事務所に確認にいったのですが、3年の法定保存期間を過ぎていたため、施主であるにもかかわらず閲覧はできませんでした。A氏は私に引き渡すべき副本を所持しているはずですし、またその設計事務所に義務付けられた法定保存期間は5年間ですから、平成13年1月11日(竣工後5年)までは、義務として保存していなければなりません。

ところで、設計図書には、当院建物の建築にあたって準拠するべき建築関連法規について、どのように記載されているのでしょうか。
設計図書の第1頁(図面番号A-0)に記載されている共通仕様書ですが、以下のようになっています(図3)

図面・特記仕様書及び現場説明書等、設計図書に記載されている事項以外は下記、共通仕様書による。

・建設大臣官房官庁営繕部監修 建築工事共通仕様書(最新版)及び、日本建築学会標準仕様書

つまり、2x4に関連した図書への言及がまったくありません。これらの仕様書には、2x4工法の詳細が記載されていないからです。











本来ならば、ここに記載されるべき図書としては、

・建設省告示 枠組壁工法技術基準(昭和49年)
・枠組壁工法建築物 設計の手引き
・枠組壁工法建築物 構造計算指針
(上記図書は、いずれも監修/建設省 住宅局建築指導課・木造住宅振興室、編集/枠組壁工法建築物・設計の手引き・構造計算指針編集委員会、発行/社団法人 日本ツーバイフォー建築協会、により、工業調査会より出版され、一般書店の店頭で入手可能)
・枠組壁工法住宅工事共通仕様書(財団法人 住宅金融普及協会発行、各銀行・信用金庫など金融機関の融資窓口で入手可能)
・ツーバイフォー・ハンドブック(監修/住宅金融公庫、企画/カナダ・ブリティッシュ・コロンビア州林産業審議会、著/神戸ツーバイフォー研究会、発行/鹿島出版会、一般書店の店頭で入手可能)

などでなければならないはずです。A氏は、あたかも在来軸組工法であるかのように見せかけて当院建物の建築確認申請を行い、しかし軸組となる柱を使わず、すべて2x4用の規格枠組材と厚さ3.5mmのパネルで仕上げたのでした。

当院の建物は、そのようなきわめて異常なキメラ的構造の所産であり、A氏のイメージから創出された不可思議な「作品」であることが理解できるでしょう。

このHPの掲示板に、ある建築関係の方が、「この構造で2x4?」と疑問を呈されております(BBS11)が、その推察はまさに正鵠を得(射)たものだったのです。



第2章これにて終幕!さて次回は(第3章です)




【クリックすると拡大します】
【図1:外壁】
【図2:屋根】
【図3:共通仕様書】
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