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第2章-2:完成後1ヶ月で始まった異常。その2

人体の骨格に相当する耐力壁は、こうしてわずかな月日のうちに、骨粗しょう症のように腐っていきました。
それは、その施工が示すように、建物が完成した時からの最初から存在していた欠陥だったのです。

そのことは、後日、誠意ある同業他者の建築家たちによってなされた、数次の調査報告書によって立証されることになります。

私は、この文章を、深い悲しみ・悔恨の思いでいっぱいになりながら書いております。
どうしたら、自分が望むような建物が得られるのか、どうすればそれを実現してくれる建築家、工務店に巡り合えるのか?どれだけの努力を払えば、建築基準法を遵守する誠実な設計・施工・監理を享受できるのか?

平成9年が明けました。
開院1年で新患数は1800名でした。平成8年末には、1日の受診者数が100名を超えるようになっていました。増えつづける患者さんとご家族へのいろいろな悩みにできる限り対応するべく、しばらくの準備期間をおいて、開院1年後のこの年の1月から、「ふくろう通信、一木こどもクリニック便り」の刊行を開始しました。

平成9年2月中旬、春一番が吹き荒れた日に、異変は起こりました。
叔母の住居である、クリニック1階住居部分の外壁タイルが、上下2箇所、それぞれ30センチ四方にわたって、タイル下のモルタルと共に崩落し、その間の空洞を突風が吹き抜けて、一晩中ゴウゴウと家なりがしたのです。叔母は震え上がって、生きた心地もしなかったそうです。







翌々日に、異常個所はC建設D氏と見習いの若者によって、修理されました。しかし、それをきっかけとして、それまで断続的であった異変があちこちで連続的に、かつ誰の目にも明らかに起こるようになりました。

前述の壁崩落個所付近の軒天、クリニック表側の軒天などに黒緑色のカビ、染みが見られるようになり、それらは見る見る拡大して、ついに平成9年4月には、軒裏の耐水ボードがダラーンと垂れ下がるようになってしまいました。ある日、患者さんから、「先生、ここの軒アッカンベーしてますよ」と言われました。私はついに、C建設の担当者を呼んで、事態の説明と、補修費用の概算提出を求めました。
(写真参照:軒下に見られる広範なシミ、カビ、腐食)

築2年までは、屋根、軒、外壁などは保証期間内ですから、C建設としては、無条件で修理補修するべき問題である、そう私は考えておりました。何も言わず、黙って修理すれば、それで一見落着。

しばらく時間稼ぎができるはずでした。ところが、C建設は、見積書は提出しましたが、一向に本格的な修理にとりかかる気配はありません。
ついに私はしびれをきらして、C建設の営業部長、工事部長を呼び、いったいどうなっているのか、会社としての対応を質しました。

C建設:「責任はA氏にあるから、当社としては、工事代金を負担するわけにはいかない。もし、施主の意向で当該工事をされるのであれば、代金を施主に請求する。」
私:「それで、今回の事態をA氏に連絡だけはしているのでしょうね?」

C建設:「いいえ、当社とA氏とはすでに絶縁状態ですから、何の連絡もしておりません。」
私:「え…。(絶句)」







C建設は、保証期間内の工事でさえも、原因はA氏の設計ミスとそれを看過した施主の責任であるから、ということで、軒天の腐食については、何らの対応もしようとはしませんでした。監理設計士A氏と、管理施工担当のC建設、そして施主である私の3者は、ここにおいて意思疎通状態になってしまったのです。
2-1: 完成後・・・ 1)
2-2: 完成後・・・ 2)
2-3: 他人任せ・・
2-4: 最初の・・・・
2-5: 最初の・・・2
2-6: 真相究明へ
2-7: 再び壁と・・・
2-8: 補強金物・1
2-9: 補強金物・2
2-10:阪神・淡路 大震災
2-11:設計者・・・1
2-12:設計者・・・2
Q&A 1:2X4って・・?

玄関横軒先
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