はじめに 欠陥住宅とは Q&A 掲示板 リンク メール
1-1:感動!
1-2:金銭的以上の価値
1-3:知らぬは施主ばかり
1-4:デンマ ーク製の・・・・
1-5:竣工。そして開業!
1-6:めざめ・・・。
1-7:もう、ここには・・・1)
1-8:もう、ここには・・・2)

第1章-2:金銭的以上の価値

2回目にA氏の事務所を訪ねた折の会話。(ちなみに、以後建物完成まで、A氏は私の自宅に来られたことはなく、すべて私がA氏指定の時間に、事務所を訪ねるのが常態でした。一度だけ、A氏は私の勤務先の大学病院に、外来を見学に来られたのですが、カーテン越しに患者さんとのやりとりを20分ほど聞いて置手紙をして帰ってしまいました。)

A氏「屋根は金属屋根でいきましょう。普通ですと、亜鉛合板ですが、さいわい今は卸がセール中で、フッ素加工のステンレス合板が半額以下で使えます。」
私 「金属屋根ですか?でも雨音がうるさくありませんか?」

A氏「(笑って)大丈夫です。雨音はほとんどしません。普通の屋根とまったく変わりません。」
私 「本当に大丈夫ですか?」

A氏「任せてください。それから、最初にお願いしておきますが、診療所だとわかるような看板は付けないようにしていただきたいのですが?」
私 「?…?。では何も目印になるものは要らないと言うことですか?」

A氏「ええ、代わりにエッチングの銅版をメモリアルプレートとしてつけます。そういう細工の上手な知り合いがいますから。」
私 「しかし、そんなことで、弱って受診される患者さんは場所が分からずに困るんじゃないですか、健康な人なら時間かけてうろうろ迷われてもいいかも知れないですけど、体調が悪い方は、少しでも早く診てもらおうと思って受診されるわけですから。」









A氏「私は、いかにもこれが医療機関だ、というような建築には興味がないのです。そんなのではなくて、あたかも以前からそこに存在していたかのように見える建物、看板の力を借りて特別に自己主張しなくても、建物自体がおのずと存在を主張してい
るような、そんな建物を作りたいのです。」

私 「ハアー、ですが、本当に患者さんは困らないでしょうか?」

A氏「大丈夫です。不自然でなく、しかもそれと分かるような建物に仕上げますから。それに初めのうちは患者さんの数も少ないでしょうから。徐じょに口コミで広がっていきますよ。看板は要りません。」
私 「そうですか。じゃあ看板がなくても患者さんにはここが診療所だと理解できるようにしていただけるんですね。」

A氏「患者さんは分かるはずですよ。」

これも後日、A氏を紹介していただいたB先生から伺ったことですが、B先生の診療所も、(A氏の希望で)看板をつけないままスタートし、結局、看板なしではまずいということで、B先生が2ケ所ほど看板を付けたいと希望され、A氏が「せめて場所は自分に決めさせてくれ」ということになり、B先生もA氏の言う場所に看板を付けられたとのことです。

その後発注先の工務店が話題になりました。工務店については、私に資金を融資してくれることになった福岡S銀行の融資担当者が、地場のC建設を強く推していました。そこで、C建設も加えてコンペ(競争入札)にするかそれとも外すかという議論になりました。

A氏「C建設とは一度も仕事をしたことがないですが、2x4なら、そちらの資材を担当している『(株)●○ちょう』を通じてやるから、C建設でもいいかな?」
私 「先生がどうしてもC建設でやりにくいと仰るのであれば、先生ご推薦の工務店でも良いですよ。」







A氏「ともかくC建設の担当者と会ってみましょう。しかし私はS銀行の担当者とは会いません。そういう押付けをする銀行がまともな工務店を推すはずがないですから。」

C建設の他に合い見積りをとった工務店もあったのですが、結局、銀行の「ツルの一声」でC建設が受注することになりました(設計図完了前の受注確定)。

5月29日、3回目にA氏と会った時に、B4サイズの手描き図面1枚を示されました

A氏「これで、一応基本的な図面はできましたので、契約ということで、設計料の4分の1程度で結構ですが、お振込みいただけますか?」
私 「エエー?でもまだ設計図が…。普通ですと、この段階では手付だけというのでは?」

A氏「いえ、これで良いのです。すでに私の頭の中には全貌が見えているのですから。これで、方向が決まったわけですから。ここまでできればあとは完成するのです。」
私 「そうですか。先生には見えているわけですね、ちゃんとした図面が。」

A氏「もちろん、契約したからには最後まで責任を持ちますから。」

「設計監理料の支払経過と建築士業務実行一覧」
   
第1回支払  平成7年5月29日  175万円
   第2回支払       6月26日  175万円
   第3回支払       7月27日  250万円

この時は、A氏が金銭的に苦境にあったようで、「少し要り様なので急ぎお願いします。」と催促されました。
   
   
第4回支払       8月29日  200万円
              
追加支払(内外装工事のコーディネイト料および、
      エッチングの銅版代として)






              
  
 第5回支払       11月9日   40 万円
   第6回支払  平成8年1月29日   40 万円
   第7回支払       2月 9日   37.8万円
    
              
合計支払額
917.8万円(うち基本設計監理料=800万円)
       (C建設支払額
8000万円+追加320万円)
    
建物総面積90坪     平均坪単価=
92.4万円

基本設計監理料(800万円)込坪単価=101.3万円
              
建築確認申請提出     8月 4日
この時点では、設計図は未完成で私にはFAXで連絡のみ。 
起工式(地鎮祭)    9月4日
竣工      平成8年1月11日   

設計料支払に関して、通常の設計監理業務委託では信じられないほどに、A氏は次々に請求を出してきました。
私は要求されるままに支払を続けてきました。それは、金銭的なもの以上の価値がA氏の設計にはある、
そう信じきっていたからです。


Q&A 1:2X4って・・?
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