調査依頼項目1.【II】住宅金融公庫・枠組壁工法住宅工事共通仕様書を下回る瑕疵があるとすれば、それはどのようなものであるか。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@報告書(つづき)
本件建物の耐力壁の壁材は、告示第56号第2第3号に基づく認定材料「サーモプライ」で施工されている。また、サーモプライの認定資料には、「枠組壁工法住宅の枠組の仕様は以下の基準及び仕様書によるものとする。
1:枠組壁工法技術基準告示 建設省告示第56号
2:住宅金融公庫、枠組壁工法住宅工事共通仕様書」と記載されている。
本件建物の枠組が住宅金融公庫の枠組壁工法住宅工事共通仕様書を下回る箇所は、図及び写真に示すとおりである。また、その内容は下記のとおりである。
4:土台と大引き突付部の根太受け金物の未設置
共通仕様書 4.5.3 ハは、「…土台と大引きとの仕口を大入れとしない場合は、土台と大引きを突き付けとし、3本のCN75を斜め打ちしたのち、大引の両面から根太受け金物を用いて取り付ける」と規定している。
しかし、「図2 床下瑕疵図」に示す和室床下箇所で、土台と大引きとの突き付け部に根太受け金物が設置されていない(写真省略)。
したがって、和室床下の土台と大引きの緊結は共通仕様書を下回る瑕疵があり、大引の両面から根太受け金物を設置する補修が必要である。
なお、和室以外の大引についても同様の瑕疵が推定される。
5:床下張材と床根太の釘打ち不良
共通仕様書 4.6.9.6は、床下張材(構造用合板)について、「床下張材の釘打ちは、CN50を周辺部150mm間隔以内、中間部200mm以内で床根太又は床梁及び受け材に平打ちする」と規定している。
しかし、「図2 和室床下瑕疵図」に示す箇所で、床下張材から床根太への釘打ちが外れており、釘打ち不良である(写真省略)。
したがって、本件建物の床下張材と床根太の釘打ちは、共通仕様書を下回る瑕疵があり、釘を打直す補修が必要である
(HP作成者注:たんに、釘を打ち直せというのではなく、それが共通仕様書を下回る瑕疵である、と述べている点に注意。すべて、明文化された技術基準を厳密に遵守しているか否かを問うていく。それが欠陥建築訴訟において不可欠の、原告側の視点なのですから)。
なお、和室以外の床下張材についても同様の瑕疵が推定される。
6:梁と天井根太の取付不良
設計図書(1階小屋・2階天井伏図)によると、1階居間吹き抜け上部の梁と天井根太の取付は根太受け金物を設置する仕様になっている。
また、共通仕様書4.9.2.1.5は、梁と天井根太の取付について、「…天井根太を根太受け金物又は根太掛けを用いて梁に取り付ける場合は、向い合う天井根太同士を帯金物を用いて緊結し、…」と規定している。
しかし、現地調査の結果、当該箇所の梁と天井根太の取付部で根太受け金物の未設置箇所がある(写真省略)。また、根太受け金物が設置されている箇所も、天井根太同士を緊結する帯金物の未設置箇所がある(写真省略)。なお、帯金物の未設置は、部材寸法の異なる梁と天井根太の下端を同面にしたために、帯金物の設置が不能になったと推定される。
したがって、本件建物の梁と天井根太の取付は共通仕様書を下回る瑕疵がある。既設天井・根太を撤去して、梁と同せいの天井根太に取り替えた上、根太受け金物及び帯金物を設置する補修が必要である。
7:たる木と天井根太の接合不良
共通仕様書4.9.2.5.1は、「たる木と天井根太の接合はCN90を平打ちし、…」と規定しており、たる木間隔が50cm以下、屋根材が金属板で勾配が4.5寸未満の場合、CN90釘の本数は3本以上である。
本件建物はたる木間隔が45.5cm、金属屋根勾配が2.5寸であるため、上記規定により、たる木と天井根太はCN90の釘3本以上で接合しなければならない。
しかし、2階ユニットバス天井点検口より調査を行ったところ、たる木と天井根太は釘2本又は1本で接合されている(写真省略)、なお、天井根太と外壁頭つなぎはあおり止め金物で緊結されているが(写真省略)、あおり止め金物の釘は通常ZN40(4cm)が使用されるため、たる木までは固定されておらず、天井根太とたる木を接合する釘とは見なせない。
したがって、本件建物のたる木と天井根太の接合は共通仕様書を下回る瑕疵があり、釘打ちを追加する補修が必要である(HP作成者注:これもただ釘打ちを追加すれば済むというだけの話ではなく、共通仕様書を下回る瑕疵である、という認識です。すべての瑕疵は、原状回復がなされなければなりません)。
8:たる木と外壁緊結部分のあおり止め金物の未設置
共通仕様書4.9.2.8.1は、「たるき…と外壁の緊結は、あおり止め金物により緊結する」と規定している。しかし、1階隔離室天井点検口より調査を行ったところ、たる木と外壁頭つなぎの緊結部分のあおり止め金物が未設置である(写真省略)、また、2階ユニットバス天井点検口より調査を行ったところ、天井根太と外壁頭つなぎをあおり止め金物で緊結しており、たる木にはあおり止め金物が未設置である(写真省略)。
したがって、本件建物のたる木と外壁の緊結は共通仕様書を下回る瑕疵があり、あおり止め金物を設置する補修が必要である。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@(以下次回につづく)