調査依頼項目4.
株式会社S研作成の鑑定評価書の鑑定結果は、調査結果から判断して、妥当なものであるか。妥当性を欠く事項があれば、根拠を示して述べよ
@@@@@@@@@@@@@@@@@@報告書(つづき)
鑑定評価書の鑑定結果のうち、妥当性を欠く事項は下記の通りである。
1)2頁「1 基礎 診療所南側(1ケ所)の基礎と壁との間の45cmのずれ」について
鑑定結果は上記事項について、「…出窓が構造壁より45cm出た壁を外観上基礎まで下げたものであり、構造上の問題はない」として「補修不要」としている。
当該外壁は耐力壁ではなく、構造上の問題はないが、写真31(省略)に示すように、布基礎と土台の取り合い部は隙間があり、雨水の浸入や虫・鼠等の侵入のおそれがある。また、壁の下枠や土台が露出しており、雨水で腐食するおそれもある。
さらに、外観上、外壁を基礎まで下げたものであれば、現状の布基礎のない壁は不自然で外観を損ねている。
したがって、当該外壁には防水、防虫、防鼠対策上及び外観上、布基礎を設置する補修が妥当である。
2)2頁「2外壁 2)サーモプライ使用による壁構造強度の低下」について
鑑定結果は上記事項について、「2x4工法の外壁面材を構造用合板厚9mmからサーモプライ厚3.5mmに変更したことにより、壁倍率5.0から4.5に下がることは否めない。が、サーモプライも建設告示の認定を受けており、建物の必要強度から考えると十分な耐力を要した構造である」としている。
しかし、鑑定結果は壁倍率に誤りがある。
本件建物耐力壁のたて枠間隔は50cm以下であるから、告示第56号第5第4号により、厚さ9mmの構造用合板の壁倍率は規格1級で3.5、規格2級で3.0である。また、厚さ12.5mmの石こうボードの壁倍率は1.5である。一方、サーモプライは告示第56号に基づく認定材料であり、壁倍率は1.5である。
本件建物の構造用合板は規格1級か規格2級かは不明であるが、設計図書による壁倍率(厚9mm構造用合板 + 厚12.5mm石こうボード)は5.0(規格1級構造用合板)〜4.5(規格2級構造用合板)である(HP作成者注:裁判の中で、設計者のA氏は、設計図に記載された構造用合板が規格1級であることを証言しました。すなわち、本来使用されるべき構造用合板単体の壁倍率は3.5です)。一方、現状の壁倍率(サーモプライ + 厚12.5mm石こうボード)は3.0である。
したがって、鑑定評価書の「壁倍率5.0から4.5に下がることは否めない」の記載は誤りであり、「壁倍率4.5〜5.0から3.0に下がることは否めない」が正しい(HP作成者注:上記の注で分るように、壁倍率は5.0から3.0に下がったことになります)。
また、「サーモプライも建設省告示の認定を受けており、建物の必要強度から考えると十分な耐力を要した構造である。」とした鑑定結果も妥当性を欠いている。
鑑定評価書は、告示第56号第5第4号に基づく耐力壁長さの検討を行っておらず、「建物の必要強度から考えると十分な耐力を要した構造である」とする根拠は示されていない。
建設省住宅局建築指導課監修の「3階建て木造住宅の構造設計と防火設計の手引き」によると、壁倍率1の耐力壁は長さ1m当り、200kgの水平力に耐えることができる。
これによると、厚さ9mmの構造用合板は耐力壁1m当り、規格1級で700kg(200kgx壁倍率3.5)、規格2級で600kg(200kgx壁倍率3.0)の水平力に耐えることができる。一方、サーモプライは300kg(200kgx壁倍率1.5)の水平力しか耐えることができない。
したがって、本件建物の壁材を構造用合板からサーモプライに変更したことにより、外壁の水平耐力は長さ1m当り300〜400kg低下している(HP作成者注:これまでの議論で明らかなように、正確には400Kgの低下になります)。
さらに、鑑定評価書の「劣化している部分のサーモプライは1枚全面張り替えとする」とする補修の査定は妥当性を欠いている。壁材の変更によって低下した構造耐力を向上させるために、設計図書に基づいて、サーモプライを厚さ9mmの構造用合板に貼り替える補修が妥当である。
3)2頁〜3頁「補強金物の不使用」について
鑑定結果は上記事項について、「外壁ボード下地に木製胴縁が1,2階通しで入っており、各ツナギ補強金物の代用になると考えられる」としているが、誤りである。
告示第56号第5第9号は、耐力壁について、「屋外に面する部分で、かつ、隅角部又は開口部の両端にある耐力壁のたて枠は、直下の床の枠組に金物又は壁材で構造耐力上有効に緊結しなければならない」と規定している。
本件建物の外壁隅角部は、たて枠と直下の床の枠組が一枚の壁材で緊結されていない部分があるため、当該箇所は告示の技術基準に基づいて金物で緊結しなければならない。また、木製胴縁は構造部材ではなく、外壁の下地ボードを取付ける下地部材である。
したがって、木製胴縁が補強金物の代用になるという技術基準はなく、鑑定結果は誤りである。
補強金物の不使用は、令第80条の2第1号及び告示第56号第5第9号に違反する瑕疵である(太字への変更はHP作成者による)。
4)4頁〜5頁「隠し樋が逆勾配」について
鑑定結果は、上記事項の補修の査定について、「内樋はそのままうす塗りモルタルで勾配是正を行い、シート防水をする」としているが、妥当性を欠いている。
屋根材葺き替え時に勾配を是正する補修が妥当である。
5)5頁「診療所屋根部に断熱材入りパネルが不使用」について
鑑定結果は上記事項について、「設計上の配慮に欠けていたきらいはあるけれども、必ずしも設計ミスを問うことはできないと判断される」としているが、誤りである(HP作成者注:太字で示した、第三者鑑定評価書における、このような文学的?文体の頻用は、建築学的、論理学的な表現と相容れないものであり、政治的な意図をもった文体と考えられます)。
設計図書(矩形図)によると、診療所屋根の断熱材はたる木間に設置されている。しかし、現状の断熱材は天井裏に設置されているため、天井裏の設備機器や設備配管により、敷き込み不良箇所がある。
したがって、診療所屋根の断熱材は、設計上の瑕疵ではなく、施工上の瑕疵である。設計図に基づいて、断熱材をたる木間に設置する補修が必要である(HP作成者注:こういう直線的、論理的表現がオメガ氏の文体の特徴です)。
(以下、次回につづく)