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建築士の業務につき、建築士法は、第4章業務【業務執行】、【その他の業務】の項で以下のように定めています。
第18条 建築士は、その業務を誠実に行い、建築物の質の向上に努めなければならない。
2 建築士は、設計を行う場合においては、これを法令又は条例の定める建築物に関する基準に適合するようにしなければならない。
3 建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うよう努めなければならない。
4 建築士は、工事監理を行う場合において、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に注意を与え、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告しなければならない。
第21条 建築士は、設計及び工事監理を行うほか、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理等の業務を行うことができる。
典拠:建築関係法令集[平成12年度版] 建築法令研究会 井上書院1999年
第18条2にうたわれているように、建築士は、法令または条例の定める基準に適合する建築物を設計し、また(設計が正しいものとの前提で)、その工事が設計どおりに施工されていない場合には、工事施工者に注意を与え、かつ第21条に定めるように、建築工事の指導監督を行うとされています。
そこで当然に疑問が湧きます。もしも、設計自体が法令または条例の定める基準に適合しないような場合に、その工事が設計どおりに施工されていないからといって、瑕疵のある設計を行った当事者が施工者に注意を与えたり、指導監督を行うという事態が生じたら、いったいどうなるのか?
現行の法令では、そのような事態は想定されていないのではないだろうか?と。
そこで、明らかな欠陥建築物であるにもかかわらず、建築士と施工者とが互いに責任を転嫁する現状を理解するために、さらなる調査が必要と分りました。
この観点から、次の書物は非常に有益で参考になりました。
典拠:建築家の法的責任 花立 文子著 法律文化社 1998年
「建築物の欠陥について直接建築家に契約責任を問うことができるものと解される。(中略)建築家が建築物の欠陥についても責任を負うとされるのは、
A:建築物の欠陥がいわゆる瑕疵であること、
B:建築物に生じた欠陥が設計または監理過誤に起因していること、
C:設計または監理過誤について建築家に過失があること」 (上記書266頁)。
「建築設計・監理契約上、注文者は過誤のない設計および監理を受領する権利を有し、この権利に相応して、建築家には過誤のない行為を行うべき義務がある。そして、これに伴なって、設計または監理過誤が建築物に移行しないよう注意する義務が課されると解しうる。(中略)設計または監理過誤が建築物に欠陥となって移行した場合には、契約に反した履行がなされたことになる。」(上記書266〜267頁、太字は管理者による)
当院建物の欠陥については、これまでに見てきたごとく、花立氏の指摘が見事に該当する事例であることは疑いません。しかし、裁判を通じてもっと驚くべきこと、提訴の時点ではまったく予想もしなかった事態が明らかになりました。
それらを次章以降で検討することにします。
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