第4章-5:Ω氏に調査を依頼

福岡地裁へ提出された第三者鑑定報告書を詳細に検討して、私はそこに論理的な誤り(誤解あるいは不勉強に起因する、なかば必然的な誤謬結論)だけでなく、多くの非論理的な誤り(故意、悪意以外には説明困難な誤謬)を見出しました。

そして欠陥建築裁判における鑑定の杜撰さを、建築学的な根拠に基づいて論理的に検証し、公開することには大きな意味があると判断し、このサイトを開設することにしました。もちろん第3章の最後に述べたように、私の日常業務をなるべく安寧に遂行するために、このサイトを安全弁とする目的もありました。


鑑定人尋問に至るまでに、以下の事態が経過しました。
1) このHPの開設(平成12年6月20日)
2) 裁判官諸氏および原告被告双方の立会いのもと、現場で鑑定人への質疑応答(平成12年9月28日)
3) 毎日新聞社による取材と平成12年11月24日夕刊への記事掲載
4) 欠陥住宅全国ネット九州大会(九州ネット発足第一回)への出席と同会の一般会員入会(平成12年11月25日〜26日)
5) RKB毎日放送による取材と平成12年12月12日同放映
6) 建築ジャーナル誌による取材(同誌の平成12年2月、第984号に掲載)
7) A氏を私に紹介してくれたB医師からの手紙(平成12年12月12日受信)
8) 福岡地裁にて、鑑定人の一人T氏に対する尋問(平成12年12月14日)


思案した結果、鑑定には鑑定で対抗するしかないと判断し、第三者鑑定の建築学的な問題点を再検証してくれる、新たな鑑定を求めることにしました。私はふたたび、進むべき道は自分で切り拓くという出発点に戻ることにしたのです。

平成13年2月、私は欠陥住宅九州ネットの事務局に連絡して、当方の状況と第三者鑑定の概要を説明し、適切な鑑定人の紹介を依頼しました。京都ネットへ依頼が伝達され、そこの世話人弁護士さんが、一級建築士のオメガ氏(大阪市)を推挙されている旨、九州ネットの弁護士さんより返事がありました。

その頃、私のサイトを見た2名のそれぞれ未知の方から、相次いで、鑑定人にはΩ氏を推挙する旨のメールがありました。

これらのつながりは単なる偶然の連鎖でしょうか?

そうではなく、建築構造にも建築法規にも精通し、精緻を尽くした、論理的な氏の鑑定が高い評価を得ていることによる必然的な成り行きであったことを、後日、氏による調査報告書を得て、私は心から納得することになります。

さて、私は関係諸氏に感謝しつつ、オメガ氏に鑑定依頼のFAXを送りました。折り返し、オメガ氏本人より、「HPを見たが、詳細がはっきりしないので裁判関係書類を送付されたい」旨の返信があり、早速書類を送付しました。

数日後「お力になれるかどうか分りませんが、お引受けいたします」とのご返事。
その後、現場調査の詳細な手順などを相談しました。

Ω氏が不可視の存在ではなく、欠陥住宅に苦しむ被害者の視点で専門知識を活かそうと努める、本当の建築プロであることを確信した瞬間でした。

私の裁判において、このサイトを開設する時点で不確定であったことのうち、決定的な重要性を担ったもの、それがオメガ氏の調査であることは疑問の余地がありません。もう一つの重要な事件、それは状況を見て後日報告します。