調査依頼項目1.【 I 】建築基準法及び建築関係法令に違反する瑕疵はどのようなものであるか(つづき)。
報告書(つづき)
2:耐力壁隅角部の帯金物の未設置
告示第56号第5第9号は、耐力壁について「屋外に面する部分で、かつ、隅角部又は開口部の両端の部分にある耐力壁のたて枠は、直下の床の枠組に金物又は壁材で構造耐力上有効に緊結しなければならない。」と規定している。また、上記規定に基づき、「サーモプライ」の認定資料(枠組壁工法・壁枠組施工詳細図)は、帯金物S−65を指定している。
しかし、現状の外壁隅角部は、たて枠と直下の床の枠組が一枚の壁材で緊結されていない部分に、帯金物が未設置である(写真省略)。
したがって、本件建物外壁の耐力壁隅角部の緊結は、令第80条の2第1号及び告示第56号第5第9号に違反する瑕疵があり、帯金物を設置する補修が必要である。
なお、端根太及び土台部分に壁材の未設置箇所があるが(写真省略)、帯金物を設置する場合、壁材と端根太及び土台部分は面が異なるため、帯金物は折れ曲がりが生じて有効に緊結されない。そのため、端根太及び土台部分には壁材を設置する補修も必要である。
上記に対するA氏の反論(乙イ第10号証A氏陳述書16〜17頁より)
2:耐力壁隅角部の帯金物の未設置について
この規定には「金物又は壁材…」とあり、2重壁構造の壁及び縦胴縁によって緊結されており、何の問題も在りません。これについては、S研鑑定においても、評価されています(HP作成者注:緊結されていないこと、および、S研鑑定の技術基準独創については、すでに第3章4および5で検証したとおりです)。
そもそもこの規定の主旨は、台風時等、強風により建物に大きな引き抜き力が働き、縦枠が、引き抜かれるのを防止する為に特にその力が集中すると考えられる外壁隅角部や開口部の両端部にある縦枠と床組を緊結することを意図しているのです。今回は土台とも緊結しており、何の問題もないのです(HP作成者注:縦胴縁は、当然そうであるように、土台とは緊結されていない)。
上記A氏の反論に対するΩ氏の再反論(平成10年ワ第2276号事件に関する意見書2〜3頁より)は以下の通りです。
告示第56号第5第9号は、耐力壁について「屋外に面する部分で、かつ、隅角部又は開口部の両端の部分にある耐力壁のたて枠は、直下の床の枠組に金物又は壁材で構造耐力上有効に緊結しなければならない」と規定している。
しかし、陳述書は「2重壁構造の壁及び縦胴縁によって緊結されており、何の問題も在りません。」としているが、以下の理由により主張は妥当性を欠いている。
1) 2重壁構造の壁
外壁2重壁の一つは耐力壁のサーモプライであり、他方は、タイル張り下地の合板である。タイル張り下地の合板は土台や上枠に緊結されておらず、構造耐力上有効に緊結された壁材とはみなせない。
2) 縦胴縁
縦胴縁はタイル張り下地の合板を固定するための下地材であり構造部材ではない。また、サーモプライの認定資料に記載されたS−65の金物を代用するものではない。
(HP作成者注:上記議論の詳細については、後日Q&A7に分りやすく解説する予定です。)
以下、Ω氏報告書のつづき。
3:耐力壁上部の頭つなぎの施工不良
告示第56号第5第10号は、「耐力壁の上部には、当該耐力壁の上枠と同寸法の断面を有する頭つなぎを設け、耐力壁相互を構造耐力上有効に緊結しなければならない」と規定している。
しかし、カウンセリングルームの曲面耐力壁の上部は、頭つなぎが隣り合う耐力壁の頭つなぎと繋がっておらず、耐力壁相互が有効に緊結されていない(写真省略)。
したがって、カウンセリングルームの曲面耐力壁は令第80条の2第1号及び告示第56号第5第10号に違反する瑕疵があり、隣接耐力壁と有効に緊結されるように、頭つなぎを設置する補修が必要である。
上記に対するA氏の反論(乙イ第10号証A氏陳述書17頁より)
3:耐力壁上部の頭つなぎについて
この規定の意図は、頭つなぎ同士がつながることが主旨ではなく、隣合う耐力壁が一体化することを主旨としており、耐力壁上枠同士のジョイント部と重ならない位置にそれぞれの頭つなぎのジョイントをとりそれぞれの上枠に緊結する事です。
調査写真ではよく把握できないが、注のはいっていないカーブした部材は何であろうか、一応上枠と頭つなぎのジョイント部はずれているように見えます。それぞれは当然上枠に緊結されているでしょう。
又、写真の見上げには、太めの端部たるきと同材で横のたるきを固定して全体としての一体化を図っているように思われます。
Ω氏はカウンセリングルーム外壁曲面部分を構成する耐力壁と、直線部分を構成する耐力壁とが、それぞれの上枠同士をさらに上から固定接合(することによって、両耐力壁を一体化)すべき頭つなぎが、境界で切れているために、両耐力壁が一体性を得られず個々に存在していること、つまり連続した耐力壁となっていないことを指摘しているのですが、A氏の反論を読むと、どうやら法規の意味と、あるべき構造とが理解できていないように思われます。
さて、A氏の反論に対するΩ氏の再反論は以下のとおり(平成10年ワ第2276号事件に関する意見書3頁より)。
「甲第22号証の作成者として、本件建物の瑕疵が多大であることを法廷において証言したいと思います。つきましては、証人として採用されることを希望いたします。」
Ω氏は福岡地裁法廷に証人として採用され証言しました。
なお法廷では、さらに決定的で反論不能の新証言がなされましたが、詳細は後にご紹介します。
Ω氏の報告書はまだまだ続くのですから。
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