|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
第1章-5:竣工。そして開業!
|
さて、このような経過を重ねて、1月11日に竣工しました。
本当は1月8日竣工予定でしたが、A氏側とC建設両者の事情で遅れました。
1月11日引渡し。保健所、消防署、警察署などの立入り検査と、家具備品の搬入を経て、1月18日に開院しました。初日は縁起良く、18名が受診されました。21日に地元宗像市の総合結婚式場を借りて開院披露宴を行いました。
そこで、前述の「ギリシャのパルテノン神殿」という意匠がA氏の口から初めて明らかにされたのです。参会者の中には、「以前会った時は、古代ローマのテラコッタ風に仕上げるとか言ってたのに、全然違うじゃない?」と仰った方もおられます。中には、「看板がないですね。これじゃあ苦情がでるよ。」と忠告して下さった医師もいました。
しかし、その頃、私は、A氏といろいろやり取りするのがおっくうになり、ちゃんと用を為すのであれば、外観は自分の意図と違ってしまったけれど仕方ないか、と考えるようになっていました。
A氏は彼なりに、私の仕事のことを理解してこの建築業務を引き受けてくれたはずだから。漠然とした不安を感じながら、私はそう思うように努めていました。
開院式の後でA氏の奥様(インテリアコーディネーターとか)としばらく話をしました。
奥様「先生、こんどの建物、先生は2000万円ほど儲かっていますよ、主人がずいぶん叩いたですもの。」
私 「ハアー、2000万円ですか。そんなに…(設計料を入れると坪単価100万円を超えているのに、これでもまだ安いのか?それが本当なら、本来は坪120万円を超えた建物というわけか。すごいなあ。と再び感動)…それはどうもありがとうございます。」
表にでて、A氏との会話。
私 「25年くらい持つでしょうかね。私はその頃68歳になりますが、70歳くらいまで仕事ができるとうれしいのですが。」
A氏「25年なんてとんでもない。50年はおろか、100年持ちます。(向かいの保育園を指差して)あの建物の屋根なんか、ざっとした作りでこれとは比べ物になりませんよ。(隣の薬局を指差して)全然面白くもなんともない建物でしょ。せめて私に設計させてくれたら、薬局も全然違った建物になっていたでしょうに。(注:薬局はC建設の内部設計工事)」
開院して数日経過した頃です。受付窓口で、患者さんが大きな声で苦情を言われています。
「新しい小児科ができたと聞いて、確かこの辺だろうと探してみたけど、それらしい建物が見つからない。個人住宅とは違うのですから、どうして看板出してくれないんですか。
営業してるんでしょ?」
受付事務担当は返事に窮したそうです。
そういうことが初日から、実は数回あったのに、恥ずかしいことですが、私は知りませんでした。
「今度同じことを聞かれたらどう答えましょうか?」と私に厳しい視線。
私 「その時はね、玄関脇の壁に銅版があるでしょう、あれがうちの看板代わりですって答えてください、今ががまんのしどころだから。」
とは言ったものの、私も落ち着きませんでした。「看板なしで大丈夫か?」という設計段階の不安が的中したからです。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
さらにつづく! |
|
|
▲上へ |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|