Q&A:1  2X4工法とは・・・。

木造建築には、(1)木造軸組工法、(2)枠組壁工法(2x4工法)、(3)木質パネル工法の3種がある。建物の強度を支える骨格(構造体)が何かで分類される。

(1)木造軸組工法
在来工法とも呼ばれている。柱が骨格となる。
柱を基礎にしっかりと固定(緊結)し、柱同士をかすがいで緊結して、強風が吹いても壊れない堅固な構造体を構成する。最近は、(2)の影響を受けて、柱と基礎、柱と梁(横柱)などの緊結に、しゅじゅの補助金物が使用されるようになり、構造体の耐力という観点からは、(2)の2x4工法に遜色のない建築が増加している。

柱同士は不連続体であるため、軸組工法の長所として、1箇所の柱が腐れても、それを取り替えることで補修できること、またシロアリ被害が発生した場合、被害の見られる柱などを交換することにより被害を最小限度に食い止めることも可能で、増改築も無理なく可能。また基本的に国産ムク材を多用するため、シロアリ被害には比較的強い。
実際の施工手順は、
1.建設大臣官房官庁営繕部監修建築工事共通仕様書
2.住宅金融公庫木造住宅共通仕様書により詳細が定められている。

(2)枠組壁工法(ツーバイフォー工法、2x4工法)
壁そのものが耐力壁と呼ばれる骨格を形成するもので、従来の家屋における柱というものは存在しない。
この工法は欧米で開発され発展した工法で、日本に導入されたのが新しいため、建築基準法には施工手順が記載されておらず、それに相当する。
1.枠組壁工法技術基準告示(昭和57年建設省告示第56号、現在まで、4回にわたり、一部改正を経ている。)、および
2.住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準により、施工基準と手順が定められている。

耐力壁を構成する構造体に認定されている建材には、
A 枠組材(ディメンジョンランバー)、
B 構造用合板(いわゆるベニヤ板)もしくはそれに代替できる同等パネル
C 釘、
D 補助金物
の4者がある。壁の外側にある建材、たとえばたて枠(縦胴縁=たてどうぶち)と呼ばれる部分は、どのように固い建材を用いていても、壁耐力には関係ないため、構造体とは呼ばれない。
枠組材の断面が、2インチx4インチ(2x4、ツーバイフォー)、2インチx6インチ(2x6、ツーバイシックス)など一定寸法の規格材であるため、2x4工法と呼ばれている。
枠組壁工法においては、プラットフォーム上で壁の枠組を行い、それをたて起こして壁を構成するため、壁はいくつかの部分に分割されている。とくに、建物全周を1枚のパネル(連続した板)と考え、そのパネルを基礎と補助金物で緊結することにより、堅固な構造体を構成することを想定するが、現実には、建物全周を構成するような1枚ものの合板は製作不可能であるから、一定サイズのベニヤ板を、ちょうどはめ絵パズルの一片のように補助金物で次々に緊結して、
連続したパネルを構成する。ダンボール箱を上下逆にした構造体を想定すると分かりやすい。ホッチキスの針に相当するものが、補助金物である。

住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準では、2x4工法における補助金物使用が必須条件の一つと明記されている。しゅじゅの補助金物によって基礎とパネル、パネル同士を強固に緊結して、地震の横揺れ、縦ゆれに対してねじれることなく、また強風によっても引っ張られて基礎から抜けることのない立方体(ゆがまないダンボール箱)を構成していくわけである。
すなわち、工法どおりにきちんとパネルの構成に成功すれば、(1)の木造軸組工法の建物に比べて、地震の時の横ゆれ、縦ゆれにも、強風にもすぐれた抵抗力を発揮することは、阪神淡路大震災でも証明されている。

2x4工法の欠点として、パネルを構成している畳大のベニヤ板および枠組材は、互いにガッチリと緊結されているため、いったん
シロアリ被害が発生すると、その構造的連続性ゆえに被害も連続し、建物全周に及ぶことがありうる。また骨格がムクの柱ではなく、合板(糊で張り合わせた数枚の薄い板)であるため、いったん水を吸うと本来の強度(耐力)はまったく期待できなくなる。すなわち建築前の保全不良による水被りや、竣工後の漏水に対して弱い工法である。さらに、一部分の増改築でも壁耐力の変動が全体におよぶため、十分な耐力計算(構造計算)がなされない限り安易に行べきではない。ムク材に比べて、輸入木材によって成形されている合板がシロアリによる被害を受けやすいこともよく知られている。

柱でなく、壁で支える工法のため、床面積に対する壁面積(壁量)の計算が重要なポイントになり、1.の木造軸組工法に比べ、制限が厳しい。


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