建物の基本的構造に欠陥があるとのことですが、具体的には どのような欠陥ですか?
A 建築基準法違反の疑い濃厚な致命的な欠陥があります。
1.基本的骨格である構造体(耐力壁)が建物基礎に緊結されていない。
2x4工法の構造体というのは、在来工法(木造軸組工法)の骨格である柱というものが存在しません(Q&Aの1を参照)。

2x4を専門とする建材店のプラットフォーム上でパネル(基本単位の面材=
構造用合板すなわちベニヤ板=を数枚ずつ連結したもの)を構成し、それを現場で壁面として立ち上げ、そうしてできた壁面を、今度は、補強金物あるいは補強用の木材を用いて、建物基礎と強固に緊結します。建物基礎というのは、鉄筋コンクリートの布基礎と、その上に載せた木材(根太材) をボルトで強固に固定した構造のことです。

当院の建物では、
設計ミスなのか、資材会社の手抜き(この場合は、設計監理者の監理ミス)かはまだわかりませんが、金物がまったく使用されていないため、耐力壁が基礎に緊結されていません。
フタのない段ボール箱を、お盆の上にふせただけの状態を想像してください。風が吹いただけで揺れます。建築基準法施行令第46条では「50m2以上の床面積を有する木造建物は、構造体をなす木造部分が基礎と緊密に結合されていなければならない。」と明記されています。すなわち当院建物は、建築基準法違反の疑いが濃厚な違法建築です。

2.パネル同士が金物で緊結されていない。
2x4工法(
枠組壁工法、または、プラットフォームユニット工法というのが正式な呼称)はとくに北欧で発達してきた外来工法であるため、パネルを構成する単位面材は、インチやフィートで表現されています。建築関係者はサブロク板(3x6フィート)、サンパチ板(3x8フィート)、サンキュー板(3x9フィート)などと表現します。

たとえば、今30フィートx12フィートの壁面をこれらの単位面材で構成する場合を考えてみます。この壁にまったく窓がなければ、3x6フィートの面材を上下2枚ずつに連結したもの(これで3x12フィートになる)を、横に10組(計20枚)次々と連結していけば出来上がります。いわば20枚のテレカをつないで1枚の大きな平面を構成するのと同じです。

この際に問題になるのは、これら20枚のテレカに縦横どのような力が加わっても、バラケたり、歪まないように、それぞれのテレカをしっかりと繋ぎ止める(建築用語で緊結という)必要があります。この緊結に必要なのが
補強金物という建材です。

すなわち、1枚のテレカと、隣のテレカ、さらに上下のテレカ間に、
補強金物を配し、その金物を指定の釘を使用して、しっかりと固定することによって、はじめてそれぞれのテレカは十分な耐力を有する、1枚の大きな面を構成することが可能となります。それゆえに、こうして、構成された壁を耐力壁と称し、在来軸組工法における柱と同じ位置が与えられるのです

2-4図
ただし、現実の建築には、窓や玄関、勝手口などの開口部があるため、このように単純ではなく、もっと複雑になります。このような開口部は力学的には弱い部位ですから、枠組壁工法技術基準告示(建築基準法に準拠しながら、2x4工法という新しく導入された外来工法のために、特別に告示された建設省令。建築基準法と同じ重みを有し、将来は建築基準法の部分条項として改組されるべきもの)および住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準で、それら注意するべき個所の施工について、特別な記載がなされています。
当院建物では、金物(
図の赤い部分。注:●○●○建材株式会社の枠組壁工法・壁枠組施工詳細図7より引用)がまったく使用されていないため、強固な1枚のパネル形成に失敗しているのです。つまり、テレカがそれぞれ歪みながら、単にセロテープで止めてあるだけの状態を想像していただければ分りやすいでしょう。

枠組壁工法技術基準告示では、
補強金物はきわめて重要な、耐力壁を構成する建材であると明記されています。また住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準では、補強金物の使用は(2x4工法の建物の強度と耐用年数を保証するために)、必須の仕様であると明記されており、金物不使用の建築物は住宅金融公庫の融資を受けることができません。

当院建物は、住宅金融公庫融資の最大限延べ面積280m2を超過していたため、融資基準に該当せず、融資を受けていませんが、住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準違反であり、また枠組壁工法技術基準告示違反と言えます。
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