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  Q&A6:再び外壁について
Q:外壁のヒビ割れは人体に例えるとどのような異常に匹敵する のでしょうか?また、外壁をはがして見たりすることは検証作業に不可欠なのでしょうか?

A:どのような工法であろうと、完成後の年月経過とともに、建物内外に少しずつの歪みが生じてきます。内壁では、木材の収縮、乾燥、吸湿などが、木材以外の建材とその度合いを異にすることにより、また緊結の仕方や木部同士の接合の仕方などによって、ヒビ割れ(クラック)発生をゼロにすることは実際上困難です。

しかし
外壁に生じたクラックの重大性は内壁のクラックとはまったく異なります。それは、建物の軸組(人体における骨組み=骨格)に、大きな歪みが生じていることを意味します。もしも外壁に1cm幅のクラックを認めたら、軸組にはすでに数cmの歪みが生じていると推定できます。
外壁を仔細に見れば、建物の構造(軸組)の異常が推定されます。

人体の場合には年齢とともに骨格が歪んでくる現象が生じ、一般に、加齢現象と言われるものです。しかし、築後すぐに雨漏りや、タイル、軒天の剥落、1年で全周囲の軒天の腐食、強風時の建物の揺れ、2年未満で外壁のクラック、耐力壁の腐食と膨潤、そして4年未満で耐力壁に大きな穴が発生、等々、加速度的に連続して異常が発生すれば、これを加齢現象である、とは言えないはずです。

人体の場合、レントゲン写真や超音波検査、CT検査、MRI検査などで、内部の異常をかなり把握できるようにはなっていますが、それでもなお確証が得られない場合には、メスを入れて内部を直接に目視するしかありません。最近は皮膚に小さな切開を入れて、そこから内視鏡を挿入し、正確に病変部を観察する技術が各分野で開発され、臨床応用されるようになってきましたが、外科手術の大部分はまだ開腹、開胸、開頭が占めているのです。

建築では、
基礎、壁、屋根はそれぞれブラックボックスになっていて、外観からでは、内部の状況はまったく、あるいはほとんど分りません。
しかし、設計者はこれらブラックボックスで仕切られた
内部空間と、それが周辺環境と調和して作り出す外部空間の造形にエネルギーを注ぐ傾向にあるようです。
ところで、今日社会問題化している欠陥建築は、すべて、
これら基礎、壁、屋根の設計施工ミス、手抜きに起因するものであって、内部空間や外部空間がどうのこうのという問題は瑕疵になっていません。
瑕疵のない
満足できる建築とは、基礎、壁、屋根をきちんと構造上問題のないように、法律に従って設計監理・施工管理された建物である、と言えるでしょう。