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第3章-3:鑑定報告書で独創された【技術基準】


鑑定事項の要旨は以下のとおりです。

【1】本件建物は安全上の理由により、建て替えが必要か。

【2】:(1)必要な場合、その理由は何か。
(2)右理由は、本件建物の設計上の原因、施工上の原因、それ以外の原因のいづれに基づき発生したものであるか。
(3)建て替えに要する費用はいくらか。

【3】(1)建て替えの必要が認められない場合、本件建物は安全 上の理由により、補修が必要な箇所があるか。
(2)補修を要する箇所がある場合、その理由は何か。
(3)右理由は、本件建物の設計上の原因、施工上の原因、 それ以外の原因のいづれに基づき発生したものであるか。
(4)補修に要する費用はいくらか。

これに対して、平成12年3月24日付で福岡地裁あて提出された鑑定報告書の概要は以下のとおりでした。

【1】本件建物は安全上の理由により、建て替えの必要性はない。構造用合板をサーモプライに変更したことにより、
壁倍率が5.0から4.5に低下したことは否めないが(管理者注:正しくは3.0)
サーモプライも大臣認定を受けた建材であり、問題はない。
また
別添資料「補強金物による接合部の構造計算」のごとく、
現状のパネルは金物が無くとも十分な耐力を有しているのみでなく、規定どおり金物を使用した場合よりも、強度は増しているので、構造用合板に貼り替える必要はない。
(管理者注:文章は必ずしも原文どおりではありません)








【2】本件建物は安全上の理由により、補修の必要性があり、その費用は、17,535,000円である (金額は営業継続を前提とした改修工事に関する見積額)。改修工事内訳は、以下のとおり。

金属屋根は下地からすべて葺き替える。
外壁タイルはすべて貼り替える。
2x4の骨格である耐力壁を構成するサーモプライ材については、上記外壁タイル貼り替えの段階で検証し、劣化が認められる部分のみ、1枚全面貼り替えとする。

【3】改修工事を必要とする部分は、いずれも根本的、基本的部分での施工等の欠陥が原因になっているから、この根本的、基本的な部分での補修がなされない限り、必要な補修費用は時点に関係なく、今回の見積りとほぼ同程度なものである。

さて、1700万円余という改修金額を見られて、「ずいぶんと被害者側に立った良心的な鑑定だな。」と思われた方もおられるでしょう。とくに【3】の記述を読むと、施工の根本的な欠陥のみでなく、施工等という表現で、暗に設計・監理の欠陥も指摘しているではないかと。
しかし、この鑑定評価書で問題になるのは、上記【1】の唯一の根拠となった別添資料「補強金物による接合部の構造計算」です。そこに、
建築基準法、同施行令、建設省枠組壁工法技術基準告示のいずれにも記載のない、まったく独自の「技術基準」が公表されていたからです。正確には公表ではなく、裁判官にのみ向けて、こっそりと、さりげなく、しかしもっとも重要な役目を負わされて、行中に置かれていた、というべきでしょうか。
次回でその新「技術基準」をごらんになれば、全国の建築士や工務店の方々はあきれかえるでしょう。

つづく

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