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第2章-1:完成後1ヶ月で始まった異常。
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平成8年2月も終わる頃、久しぶりの雨が降りました。
バラバラとまるでフライパンで豆を煎るような音です。
「トタン屋根みたいだなあ、普通の屋根でもこんな音がするのだろうか?」開業して何度目かの雨の夕刻、診療が終わったクリニック2階の院長室で、激しい雨音を聞きながら、私はそんな思いにふけっていました。
翌日。叔母が悲しそうな顔で私に教えてくれました。
「昨日ね、私のところ、お座敷の床の間に、雨が漏っちゃったわよ。」
「ええ…だって、まだ1ヶ月しか…」
「そう、ちょっと早すぎるわよね。」
新築1ヶ月で床の間浸水とは…
すぐにC建設の現場監督D氏に電話しました。
翌日軒の浸水部位らしいところを修理(コーキング=隙間充填)して、
それで終了。
これがきっかけでしたが、設計士のA氏は「もう来ない」とのことでしたから、こちらからは連絡するわけにもいかず、C建設現場監督のD氏と営業部長などに、A氏へ連絡してくれるように頼みました。
平成8年4月、風の強い日に、外壁のタイルが数枚あちこちではがれ落ちました。
熱にうなされる子どものオデコに貼った熱冷まシートがパラリと剥がれ落ちるように…。
それもC建設に連絡して、すぐに貼り直してもらいました。現場監督のD氏と、まだ若い見習風の方が来られて作業していたのを覚えています。
ところで、私は、C建設からA氏へ、当然、連絡されていると思っておりますから、そのうちA氏が覗きにくるものとばかり思っておりました。しかしA氏は来ませんでした。
そうして日時は経過していきました。建物の被害も見かけ上は、新しい異常個所も出現せず、看板を取付けてからは、患者さんも順調に増えてきました。
平成8年は、あまり雨の多い年ではなかったのですが、ちょうどお盆に九州地方を襲った台風の時に、初めて、建物が異様にギシギシと揺れるのを感じました。普段の風雨では分りませんが、強風では家鳴りがするようで、とても心細い気分になりました。
しかし、目に見えない異変は、確実に進行していたのです。建物の外周すべての軒先から軒裏へ廻った雨水は、そのまま外壁裏へ浸入し、2x4工法で命ともいうべき構造体を侵食し、腐食させ、釘を錆び続けさせていました(Q&Aの『屋根、軒解説』の動画参照)。
しかも、その耐力壁(従来の工法の柱に相当する。Q&A参照)は、基礎(土台)と緊結されていず(建築基準法施行令第46条違反)、ただ屏風を立てただけのような状態でした。
さらに、その屏風同士さえも緊結されてはいなかったのです(枠組壁工法技術基準告示違反、住宅金融公庫枠組壁工法共通施工基準違反)。
そして雨水は、ひそかに、絶え間なく浸入を続けていました。
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▲上へ |
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水もしたたる次へ |
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